分報 (times)
分報とは何か
解決したい課題
本来の目的は「旧来の日報の弱点克服」であった
情報伝達や課題解決の速度向上
未解決の課題を日報で共有するのは情報伝達が遅すぎる。重大な問題でもチームに周知されるのがその日の終業時間になってしまうからだ。解決が翌日に持ち越しになることもある。こうした無駄な待ち時間が積み重なると、チームの行動がどんどん遅くなってしまう。
ohbarye.icon 分〜時間単位での課題解決を要さないなら不要
分〜時間単位での課題解決を要するにしても、チームチャネルや口頭で相談など別の解決策があれば不要
解決した課題や学びの共有・テキストログ化(資産化)
日報のもう一つの弱点は、解決済みの課題が表面化しにくい点だ。メンバが課題にぶち当たったとしても、情報共有の24時間間隔になるため、その間に課題が解決されてしまうことがある。たとえ、6時間ハマったとしても終業時刻に解決していたら、日報には「課題」として載らない。
ohbarye.icon 解決した課題や学びをログ・ドキュメントとして残すなら不要
チームチャネルや口頭で相談など別の解決策があれば不要
あとから発見された目的 or 副作用にも注目されている。特にコロナ禍でリモートワークが広まることで生じた課題意識と繋がって再評価された流れがある ohbarye.icon なにを目指しているのか?分報のような、一部に欠陥のあるコミュニケーションが本当に欲しかったものなのか?
個々人のテキストコミュニケーションスキルに依存するのは組織・チームとして良いことなのか
ohbarye.icon 組織における透明性とは単純に情報がオープンであることではなく、信頼関係があることや、コミュニケーションにおける不確実性が低減されていることである。分報で解決すべき課題なのか? メリット
分単位で課題が解決できる
個人の学びや課題解決がログに残り、自然とチームに広まる
「誰が何を知っている」「誰と誰が話をしている」がクリアになる
Slack連携ツールを他人を気にせずに試すことができる(自分のカレンダー予定を流したりtodo管理をslack上でやったり)
分報チャンネルが「自分専用の部屋」となることでチャットベースのコミュニケーションに慣れたり、心理的に発言のハードルが下がる
それまでDMなどで行われる可能性があったやりとりをpublic channelで行うことができる(情報のオープン化)
趣味や興味関心ネタが分かるので「人となり」がわかる(コミュニケーションの促進)
オンライン環境でコミュニケーションに熱量を生み出していくためには、オンライン環境での存在感= Social Presence が大切になります。分報での発言が増えることで、そこからのやりとり、 Emoji Reaction などコミュニケーションが増えやすくなります。
デメリット
スケールしない。人が増えるほど参加するチャネルの量が増え、比例して時間・集中力が奪われ、仕事の効率が落ちる
全員がすべての分報channelに参加するわけにはいかないので結局クローズドになる。適切でない人員による最良でない意思決定が行われたり、情報の分断が起きる
参加者が多いチャネルや対面では使わないような言葉遣いになりがち
ohbarye.icon これは分報以前の問題では。見ている人が少ないからといってそういう振る舞いをするようなモラルの欠如が問題
テキストコミュニケーションの得意・不得意に依存して情報の発信・摂取に差が出る
人が増えるとチャンネルの量 / 分報を見る時間がめちゃくちゃ増える
作業メモを残すなど分報のためにSlackを使う回数が増えると、ついつい別のことをしてしまって集中が切れがちになる
趣味や興味関心ネタが増えてくると雑談が増え、「仕事の効率が落ちてるかも...」と思う場面が出てくる
分報を続けていくと次第に進捗共有ややっていることの共有が減り、社内Twitterのような使われ方が増えてきてKeepの効果が薄れる
DMの代わりとして分報を使っている場合、分報が非アクティブな人やアーカイブしてしまった人への連絡方法で困る
悪い意味で他人を気にしなくて良いので、言葉の表現が乱暴になったり配慮がかけたものになりがち(特にレガシーなものなどへの負の感情...)
気がついたら自分のチームのメンバーが増えていって、メンバー全員のチャンネルに入るとそこそこな量になるようになってきた。別に常に全員がその瞬間何してるのか追ってる必要もないし、そもそも私は若手エンジニアということでまずは自分の仕事をしていくことが大事では?ということで他人の分報チャンネルから次々と抜けていくことにしました。
分報チャンネルでまじめな話するの、喫煙所の会話で重要な決定がなされる、のと一緒やからな。
物理的に見えない時点でタバコ部屋以上にタチが悪いと思ってる。タバコ部屋はいざとなればそこに乗り込んでいけばいいので
times の数が増えすぎるとどれを見たらいいかわからない、見るのに時間がかかる。雑談しすぎてしまう、業務に支障が出る
結局クローズド。井戸端会議になりがち、情報が一部の人にしか伝わらない。いわゆるタバコ部屋のような
文章を書くのが苦手だと使いづらい
治安が悪くなる
井戸端会議
それ全社チャンネルで言ってくれたら、timesで会話してる3人より背景を考慮した良いアドバイスが出来たし、事前の確認も怠る事はなかったのに、timesで決まって始めちゃったら手遅れじゃん…
人数に対してスケールしない
timesは「義務がない」代わりに「どこまでをどのチャンネルに投稿するかが個人に問われる」のだ。
数人〜数十人のうちは先述のメリットを存分に享受できるが、人数が増えるにつれて見るtimes、見ないtimesがそれぞれ生まれ、timesの投稿量や質が多様になり始めていく。全員が全てのチャンネルを追う事が業務中に不可能になった時、timesは一気に井戸端会議になるし、その多様性を無理に受け入れようとすると多くの業務時間をtimesの選別や巡回などに取られる事になる。
承認欲求を刺激する
「違う人が同じ発言をしても、付くリアクションや返答の数が変わる」「いつもチャットで話しているあの人が常に話題の中心」という現象は人間の性として避けられず、そうした先に雑談による生産性向上の範疇を超えた「社内で一日中仕事しないで雑談してるオッサン」のSlack版「常にSlackで何か投稿してる謎の人」が誕生する
発言が過激になり始める。Twitterと同じだ。社内の新しい制度に斜め上から鋭い風のコメントをしてみたり、どうしても話題を供給したくなりネットから話題の記事を拾ってきてはてなブックマークのような辛辣なコメントをしてみたり。
ohbarye.icon 意見
分報を評価する問を用意しておくとよい
あなたやあなたのチーム・会社が解決したい課題・目的に対して分報は適切な手段と言えるか?
あなたやあなたのチーム・会社において分報のデメリットはどれだけ顕在化しているか?
あなたやあなたのチーム・会社はデメリットを克服するコストを払ってまでメリットを享受したいか?
少人数チームでは明確にメリット > デメリットとなることが多い一方、上記の問に明確な回答を用意せずになあなあで運用すると、組織の成長や人員の入れ替わりによってデメリットのほうが目立つようになる。費用対効果は逓減し、メリットを享受するためにはコストを払うことになる。銀の弾丸は無い デメリットがどのタイミングで目立つようになるか?
30人あたりから認知負荷が上昇し、組織内を流れる情報が経営層を挟まないことが増える 壁のタイミングで分報を評価する問を自問自答し、コミュニケーションスタイルを見直していけると良い 関連
2020年以降